一般財団法人日本情報経済社会推進協会

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14.生鮮食料品等流通業

農林水産省・農林水産省告示第千五十二号
情報処理の促進に関する法律(昭和四十五年法律第九十号)第三条の二第一項の規定に基づき、生鮮食料品等流通業界における電子計算機の連携利用に関する指針を定めたので、次のとおり告示する。
平成十二年七月二十七日
農林水産大臣 谷 洋一

生鮮食料品等流通業界における電子計算機の連携利用に関する指針

我が国における生鮮食料品及び花き(以下「生鮮食料品等」という。)の流通は、生産者、卸売業者、仲卸業者、小売業者等多数の事業者によって担われているが、これら生鮮食料品等流通業界に属する事業者が将来にわたって発展を遂げていくためには、各事業者が連携し、多様化する消費者ニーズに迅速かつ的確に対応しつつ、良質な生鮮食料品等を合理的な価格で安定的に供給し得るような体制を整備していくことが重要である。
このため、経済社会の急速な情報化に対応して、生鮮食料品等の流通を担う各事業者を結ぶ企業間オンラインシステムを構築し、受注・発注、出荷・入荷、決済等取引に関する様々な情報交換を電子計算機を介して行うこと(以下「取引の電子化」という。)により、生鮮食料品等の取引に係る業務の迅速化、正確化及び低コスト化を図るとともに、事業者相互間における情報の受発信の円滑化を通じて、生鮮食料品等の生産から小売に至る一連の流通行程を総合的に改善していくことが求められている。
取引の電子化を実施するためには、その導入の基盤として、メッセージ、商品コードその他のデータ転送のための規約であるビジネスプロトコル等を整備するとともに、当該ビジネスプロトコル等に基づき各事業者を結ぶ企業間オンラインシステムを構築する必要がある。現在、加工食品については、その流通において、商品の保存が可能であり在庫管理が行われること、商品の形状及び品質が製造段階から小売段階に至るまで変化しないこと等の面で日用品等と取扱いが共通することから、取引の電子化のための基盤の整備は一定の進展を見ているところである。しかしながら、生鮮食料品等については、その流通行程における鮮度保持の困難性や形状の変化といった商品特性、せり売のような固有の取引形態等、その流通の特殊性に対応したビジネスプロトコル等取引の電子化のための基盤の整備が立ち遅れている状況にあり、その早急な整備が課題となっている。
しかしながら、個々の事業者ごとに独自のビジネスプロトコル等を用いて企業間オンラインシステムの構築が進められると、各システムの互換性の欠如により、複数の端末機の設置、取引先ごとのデータ変換処理ソフトの整備等による重複投資、重複入力等の問題が生じるおそれがある。
こうした問題を解決するための手段として、EDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)の導入が重要度を増してきている。EDIは、「広く合意された規約に基づく取引の電子化」のことであり、「広く合意された規約」(EDI標準)の採用により、同業種間のみならず、異業種間の事業者においても効率的な情報交換が行われるというメリットがある。
こうした観点から、平成九年度から、(財)食品流通構造改善促進機構が中心となって、生鮮食料品等流通業界に属する各事業者の意向を踏まえつつ、標準メッセージ、標準商品コード等EDI標準の開発の取組が行われているところであり、さらに、平成十年六月には、生鮮食料品等流通業界に属する事業者が中心となって、生鮮取引電子化推進協議会が発足し、生鮮食料品等の流通におけるEDIの普及を推進するための自主的な活動が開始されたところである。
このような状況の中で、今後、事業者間で連携した電子計算機の効率的かつ高度な利用を実現することは、生鮮食料品等の流通の一層の高度化のための基盤を提供し、その業界の健全な発展に資するものであるとともに、消費者ニーズに関する情報が農水産物の生産者へ的確に伝達されることを通じて、我が国農水産業の健全な発展にも資するものである。
この指針は、以上の認識に基づき、生鮮食料品等流通業界における電子計算機の一層の効率的利用を図るため、電子計算機利用高度化計画を勘案し、事業者が連携して行う電子計算機の利用の態様、その実施の方法及びその実施に当たって配慮すべき事項を示すものである。

一 事業者が連携して行う電子計算機の利用の態様

データ交換フォーマット、そこに記載される項目、コードなどのビジネスプロトコル等を標準化し、これを用いた「企業間オンライン方式」による各事業者間における電子的取引情報交換

二 実施の方法

(一)ビジネスプロトコルの標準化

(1)シンタックスルール

シンタックスルール(データ交換に用いる構文規則)としては、EDIの国際的な普及の進展に留意し、UN/EDIFACT(United Nationsrules for Electronic Data Interchange for Administration, Commerceand Transport:行政、商業及び輸送のための電子データ交換国連規則集)において定められたシンタックスルールを業界標準として設定し、その普及に努めること。

(2)標準メッセージ

標準メッセージとしては、(財)食品流通構造改善促進機構が我が国の流通標準EDIメッセージ(日用品等の流通業界における標準メッセージ)との整合性を図りつつ開発する標準メッセージを業界標準として設定し、その普及に努めること。

(3)標準商品コード等

標準商品コードとしては、(財)食品流通構造改善促進機構が既存の青果統一品名コード、日本花き取引コード等との整合性を図りつつ開発する生鮮食料品等の品名及び生産地、栽培方法等の商品属性情報を示す標準商品コード並びに同機構が当該標準商品コードに基づき開発する標準物流用バーコードを業界標準として設定し、その普及に努めること。

(二)伝送手順の標準化

国際標準伝送手順及び他の流通業界における標準伝送手順を踏まえつつ、生鮮食料品等流通業界に最適な伝送手順を業界標準として設定し、その普及に努めること。

(三)標準業務運用規約の確立

各事業者固有の業務運用規約による運用の煩雑化及び取引上のトラブルを防止し、業務の省力化を図るため、標準業務運用規約を確立するよう努めること。

(四)EDI実施事業者の拡大

事業者が連携して行う電子計算機の利用の価値を高め、生鮮食料品等の流通行程の改善を図るため、EDI実施事業者の拡大に努めること。

(五)実施体制の整備

以上の各項目を実施するため、生鮮取引電子化推進協議会を中心に生鮮食料品等流通業界におけるEDIの普及及びビジネスプロトコル等の保守管理を行うための体制を整備するよう努めること。

三 実施に当たって配慮すべき事項

(一)中小企業への配慮

生鮮食料品等の流通には、大規模事業者から小規模事業者まで様々な規模の事業者が携わっており、各事業者における電子計算機の普及状況、資金的能力及び人的能力にはかなりの差異がある。したがって、ビジネスプロトコルの標準化等に際しては、中小規模の事業者に過大な負担を与えることのないよう十分配慮すること。

(二)既存の企業間オンラインシステムへの配慮

既に取引の電子化を実施している事業者が容易にEDIを導入することができるよう、ビジネスプロトコルの標準化等に際しては、当該事業者が構築する企業間オンラインシステムとの互換性に配慮すること。

(三)セキュリティの確保

EDIを実施する事業者の拡大により、システムダウン、不正介入等の危険にさらされる可能性及びその影響の及ぶ範囲が増大するおそれがある。これらに対処するため、安全性及び信頼性の高い電子計算機の導入、利用環境の整備等セキュリティの確保に努めること。

(四)マンマシンインターフェイスの向上

EDIを実施する事業者の拡大に対応して、事業者が容易に扱える操作性を確保する等マンマシンインターフェイスの向上に努めること。