一般財団法人日本情報経済社会推進協会

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2.中古自動車販売業

通商産業省・運輸省告示第二号
情報処理の促進に関する法律(昭和四十五年法律第九十号)第三条の二第一項の規定に基づき、中古自動車販売業における電子計算機の連携利用に関する指針を定めたので、次のとおり告示する。
昭和六十一年六月二日
通商産業大臣 渡辺美智雄
運輸大臣 三塚 博

中古自動車販売業における電子計算機の連携利用に関する指針

我が国中古自動車販売業は、これまで、(社)日本中古自動車販売協会連合会及び日本中古自動車販売商工組合連合会を中心に、効率的な仕入れ及び販売管理を目指した総合一貫情報管理システムの開発及び導入に取り組んできた。その成果は、需要家の多様な要求に即応しうる効果的供給体制作りを推進し、とりわけ我が国自動車流通の発展に大きく寄与してきたところである。
特に、最近の中古自動車の需要家の要求は、よりきめ細かく、個性化も進み、その変化も速くなってきている。このような販売環境の下で、中古自動車販売業者(以下「販売業者」という。)が経営を積極的に進めていくためには、一層高度化した情報管理システムの開発を速やかに行っていく必要がある。このため、日本中古自動車販売協会連合会及び日本中古自動車販売商工組合連合会が中心になって、全国各地で開催される中古自動車オークションの出品物の内容及び落札の結果に関する情報の提供、中古自動車の実勢価格に関する情報の提供、販売業者を支援する経営情報の提供、販売業者の業務の効率化及び合理化のための汎用システムの共同利用等を目的とした情報システムの構築が進められているところである。
しかし、当該システムの構築に当たっては、本システムを採用する中古自動車販売店(以下「販売店」という。)等の拡大、異なる情報処理機器間の相互運用性の確保、自動車産業関連情報等の内容の充実、情報収集及び提供の高度化等の課題が残されている。今後、これらの課題を克服しつつ、販売業者等の間で連携した電子計算機の効率的かつ高度な利用を実現することは、中古自動車販売業全体の一層の高度化のための基盤を提供するものであるとともに、自動車関連業界全体の健全な発展にも資するものである。
この指針は、以上の認識に基づき、中古自動車販売関連業界における電子計算機の一層の効率的利用を図るため、電子計算機利用高度化計画を勘案し、販売業者等が連携して行う電子計算機の利用の態様、その実施の方法並びにその実施に当たって配慮すべき事項を示すものである。

一 事業者が連携して行う電子計算機の利用の態様

(一)各県中古自動車販売商工組合の電子計算機及び販売店の端末機を(社)日本中古自動車販売協会連合会が構築、運営するネットワークによって接続し、オンラインで情報の処理、収集、提供、交換を行う業界共同の情報システム
(二)(社)日本中古自動車販売協会連合会が中心となって開発した販売店業務用の汎用ソフトウェアを共同利用して構築する情報処理システム

二 実施の方法

(一)収集及び提供する情報の拡充

次に掲げる情報その他の整備の必要性の高い情報について、段階的に情報内容の充実を図ること。

  1. 全国のオークション会場における中古自動車の出品、落札、実勢価格(成約価格の最高値、最安値、平均値、該当台数)等オークションに関する情報
  2. 業販車に関する実勢価格等の情報
  3. 販売店が持つ中古自動車の在庫等商品に関する情報
  4. 分野別、体系的に整理された自動車産業に関連する諸情報

(二)情報の入力体制の整備

オークションに関する情報は、各県中古自動車販売商工組合の電子計算機から入力される情報が基になって作り出されるものである。従って、各県中古自動車販売商工組合においては、販売店がオークション情報等を有効に活用できるよう、迅速かつ正確な情報の入力体制の整備を図ること。なお、電子計算機が未設置の場合は、日本中古自動車販売協会連合会と十分連携を取りつつ設置すること。

(三)参加者の拡大

事業者が連携して行う電子計算機の利用については、その参加者を拡大することによってその利用価値が高まるとともに、全体としての費用対効果比の改善が図れること等が期待されることから、一(一)及び(二)への参加者の拡大を図ること。

(四)データコード及びデータ交換フォーマットの標準化

変換のためのマスターファイルの維持、管理業務を軽減し、汎用ソフトウェアの利用範囲の拡大等を図るため、各県中古自動車販売商工組合及び販売店は、共同システムへの参加時、既存情報システムの更改時をとらえて、(社)日本中古自動車販売協会連合会の定めた次に掲げる中古自動車販売に係る情報処理に必要なデータコード及びデータ交換フォーマットを積極的に採用するよう努めること。また、これらのデータコード等については、より広い分野の標準化を進めるとともに、既存のデータコード等の有効性を保ち、多様化するニーズに応えられるよう、維持、管理業務を充実すること。

(1)データコード

  • イ 商工組合コード
  • ロ オークション会場コード
  • ハ 販売店コード
  • ニ 車名コード(メーカーコード、分類コード、通称車名コード)
  • ホ グレード、シフトチェンジの方式、冷房の有無等自動車の仕様に関するコード

(2)データ交換フォーマット

  • イ オークション出品、落札データ交換フォーマット
  • ロ 業販車データ交換フォーマット
  • ハ 在庫データ交換フォーマット

(五)既存伝送手順の採用

情報処理サービス業者の保有する電子計算機及び各県中古自動車商工組合の電子計算機又は販売店の端末機との接続に当たっては、当該情報システムの特長から、ファイル伝送には「J手順」を、会話型伝送には非同期無手順方式のうちから日本中古自動車販売協会連合会が指定する方式を採用するよう努めること。

三 実施に当たって配慮すべき事項

(一)費用負担面での配慮

中古自動車販売業界は、主として中小規模の事業者から構成されており、資金的能力、人的能力等の面から必ずしも容易にシステムに参加することができないおそれがある。従って、利用料金、販売店設置の端末機等につき費用負担が過大になることのないよう所要の配慮をすること。

(二)セキュリティの確保

情報システムのオンライン化及びシステム参加者の拡大等により、システムダウンや不正介入等の危険にさらされる可能性と影響の及ぶ範囲が増大するおそれがある。これに対処するため、情報処理サービス業者等は、「電子計算機システム安全対策基準」を遵守し、情報システムの安全性、信頼性の確保に努めること。

(三)プライバシーの保護

販売店における在庫情報等システムに提供し公開する情報と個々の仕入相手先や経営に関する登録情報等個別の販売店限りの情報とを峻別して取り扱うこととし、後者の情報が漏洩することなどのないようプライバシーの保護に努めること。

(四)マンマシンインターフェイスの向上

情報処理についての専門的知識を要することなく、データベースの検索や加工に必要な端末の操作が容易に行えるよう、メニュー方式を採用する等マンマシンインターフェイスの向上に努めること。

(五)機器、システム間の相互運用性の確保

機器の導入に当たって相互運用性の面で無用の混乱が生じないよう(社)日本中古自動車販売協会連合会において相談窓口を作る等体制の整備に努めること。また、自動車部品販売業や石油流通業その他の業界情報システムとの相互乗り入れに対応しうるよう、今後の情報システムの構築に当たっては、情報システム間の相互運用性に配慮しつつ取り組むこと。