一般財団法人日本情報経済社会推進協会

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6.電子機器製造業

通商産業省告示第二百二十九号
情報処理の促進に関する法律(昭和四十五年法律第九十号)第三条の二第一項の規定に基づき、電子機器製造業における電子計算機の連携利用に関する指針を定めたので、次のとおり告示する。
昭和六十三年六月一日
通商産業大臣 田村 元

電子機器製造業における電子計算機の連携利用に関する指針

我が国電子機器製造業は、これまで大手電機メーカーを中心に、先進技術の開発とともに、信頼性の高い製品を安価にかつ大量に供給し得る生産ライン及び生産管理システムの整備に取り組んできた。その成果は、需要家の多様なニーズに即応し得る効率的な供給体制となって、我が国電子機器製造業の発展に大きく寄与してきたところである。
近年、特に昭和六十年代に入り、電子機器製造業における情報化は、従来の製造工程のみなず、資材調達、製品販売等の流通面にも及ぶようになった。特に、資材調達面については、生産に迅速に対応する資材調達及び資材在庫の縮小を目標とした情報化が進み、組立メーカーにおいては、いわゆる資材調達取引のオンライン化の必要性が高まってきた。このため、(社)日本電子機械工業会は、資材委員会及び部品運営委員会において、オンライン化について分析を行い、その結果、オンライン化の前提となるビジネスプロトコル及び伝送手順の標準化等様々の課題の存在が明らかになったところであり、既に(社)日本電子機械工業会内のオンライン化取引対応委員会において検討が始められている。
今後、これらの課題を克服しつつ、事業者間で連携した電子計算機の効率的かつ高度な利用を実現することは、電子機器製造業全体の一層の高度化のための基盤を提供するばかりではなく、広汎な分野にわたる資材流通を通して、他業界に対して与える効果も大きく、広く我が国産業界の情報化の進展と、それによる生産・流通の効率化に資するものである。
この指針は、以上の認識に基づき、電子機器製造業において電子計算機を効率的に利用し、生産・流通の一層の高度化を図るため、電子計算機利用高度化計画を勘案し、事業者が連携して行う電子計算機の利用の態様、その実施の方法及びその実施に当たって配慮すべき事項を示すものである。

一 事業者が連携して行う電子計算機の利用の態様

(一)オンラインメッセージフォーマット、そこに記載される項目コード等のビジネスプロトコル及び伝送手順の標準化を踏まえて構築する個別企業間オンラインデータ交換によるオンライン取引システム
(二)標準化されたビジネスプロトコル及び伝送手順により、各事業者の業務処理システムを相互に結び、取引情報の交換を効率的に行う蓄積交換ネットワークシステム
(三)オンライン取引システムと連携したバーコードラベルシステム

二 実施の方法

(一)ビジネスプロトコルの標準化

次に掲げるビジネスプロトコルについて、(社)日本電子機械工業会のオンライン化取引対応委員会を中心に標準化を検討し、その有効性につき業界内での合意形成を図り、現行処理との整合性に配慮しつつ、発注から決済に至るオンラインデータ交換推奨モデルを形成するよう努めること。

  1. 注文、納入、出荷、入荷、検収等に係る情報(以下「各種交換情報」という。)の交換規約
  2. 各種交換情報のフォーマット
  3. 各種交換情報に共通的に使用されるデータ項目の定義と表現形式(コード体系)
  4. オンラインデータ交換推奨モデルと整合性のとれた物流用バーコード付きラベルのフォーマットとその運用方法

(二)業界推奨伝送手順の設定

各種交換情報をオンライン交換するために、電子機器製造業に最適な伝送手順を設定し、業界標準としての普及に努めること。
その際、OSI(開放型システム間相互接続)を基本とした標準的な伝送手順の開発に貢献し得るよう努めること。

(三)業界標準ビジネスプロトコルの積極的採用

今後、電子機器製造業では、組立メーカーを中心に、受発注などの取引データを交換する個別の情報ネットワークの構築が進むと考えられる。したがって、これら個々の端末及びシスムの相互接続に要する費用の削減と期間の短縮を図るため、各事業者においては、特に外部接続インターフェイスに、業界標準ビジネスプロトコルを積極的に採用するよう努めること。

(四)蓄積交換ネットワークシステムの確立

各種取引業務の広域化、効率化及び省力化を図るため、(社)日本電子機械工業会を中心にして、標準化された外部接続インターフェイスを持ち、多数の取引業務用ネットワークを相互に結合させた蓄積交換ネットワークシステムの整備に努めること。

(五)オンライン取引に対応した標準的業務運用基準の確立

オンライン取引開始に伴う帳票、オンライン併用のデータ交換による運用の複雑化、各社別固有ルールによる運用の繁雑化及び各種トラブル等を防止し、省力化を図るため、日本電子械工業会のオンライン化取引対応委員会等を中心にして、標準的業務運用基準を確立するよう努めること。

三 実施に当たって配慮すべき事項

(一)中小企業への配慮

電子機器製造業は、大規模事業者から小規模事業者までの様々な規模の事業者から構成されており、各事業者が有する電子計算機システム、資金的能力、人的能力等にはかなりの差異がある。したがって、ビジネスプロトコルの標準化及び業界共同のネットワークシステムの整備等に際して、中小規模の事業者に過大な負担を与えることのないよう十分配慮すること。

(二)セキュリティの確保

企業間システムのオンライン化及び業界共同のネットワークシステムの確立等により、システムダウンや不正介入等の危険にさらされる可能性及びその影響の及ぶ範囲が増大する可能性がある。これらに対処するため、安全性、信頼性の高い電子計算機システムの設置や運用面での配慮等セキュリティの確保を図ること。

(三)他業界への配慮

電子機器製造業は、製品の製造に当たって極めて多品種の資材を用いることから、資材調達という取引を通じて関係する業界は多岐にわたっている。したがって、電子機器製造業における電子計算機の連携利用は、単に当該業界内にとどまらず、取引関係にある他の業界にまでも波及する可能性が大きいことを十分考慮しつつ、その基盤となる業界標準化を進めること。

(四)業界標準ビジネスプロトコルの公開

関連規約を含む電子機器製造業の業界標準ビジネスプロトコルは、当該業界内にとどまらず、産業界全体の資産となることが望ましい。したがって、その内容は、積極的に公開されるべきであり、業界としては必要に応じて説明会などを実施し、広く普及に努めること。
また、蓄積交換ネットワークシステムは、電子機器製造業及びこれに関係するいかなる業種に属する企業も加入できるように、開放するよう努めること。