一般財団法人日本情報経済社会推進協会

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5.電子出版業

通商産業省告示第百十八号
情報処理の促進に関する法律(昭和四十五年法律第九十号)第三条の二第一項の規定に基づき、電子出版業における電子計算機の連携利用に関する指針を定めたので、次のとおり告示する。
昭和六十三年三月二十九日
通商産業大臣 田村 元

電子出版業における電子計算機の連携利用に関する指針

我が国電子出版業は、コンピュータ技術の飛躍的な発展を背景として、CD-ROMと呼ばれる大容量パッケージメディアを利用することにより、データべースの要素を取り入れた新しい出版形態を創出してきた。この電子出版は、これまでの出版の概念を大きく広げるものであり、その将来に大きな期待が寄せられているところである。
特に昨今のCD-ROMドライブの価格低下を背景とした電子出版ソフトの利用者層の拡大に伴い、使い易くかつ低廉なソフトに対する需要が高まっている。
しかしながら、現在発売されている電子出版ソフトは、各社が開発した独自のソフトフォーマットを用いて作成されており、各社独自のプログラムを使用しなければ読み出すことができない状況となっている。電子出版業界が、今後、利用者のニーズに対応したソフトの供給を行っていくには、ソフトフォーマットを統一するとともに、電子出版業界共同データべースの整備等を図ることにより、ソフト制作の効率化とソフトの流通の拡大を図っていくことが重要である。
今後、これらの課題を克服しつつ、事業者間での連携した電子計算機の効率的かつ高度な利用を実現することは、電子出版業全体の一層の高度化のための基盤を提供するものであるとともに、電子出版業界全体の健全な発展にも資するものである。
この指針は、以上の認識に基づき、電子出版業界における電子計算機の一層の効率的利用を図るため、電子計算機利用高度化計画を勘案し、電子出版業者が連携して行う電子計算機の利用の態様、その実施の方法及びその実施に当たって配慮すべき事項を示するものである。

一 事業者が連携して行う電子計算機の利用の態様

(一)電子出版媒体上のソフトフォーマットの統一を踏まえて構築する事業者間のデータ交換を可能とする共通のシステム
(二)統一ソフトフォーマットの利用を促進するため、各事業者が密接な連携をとりつつ構築する業界共同のデータべース

二 実施の方法

(一)ソフトフォーマットの統一

日本電子出版協会を中心に、統一ソフトフォーマットを策定し、各事業者が当該フォーマットに基づいた電子出版ソフトを供給すること。

(二)事業者間ソフト情報ネットワークの構築

電子出版業界内で、相互に利用可能な情報又はプログラムを有効に活用するための企業間情報ネットワークを構築するよう努めること。

(三)電子出版業界共同データべースの形成

統一ソフトフォーマットの利用拡大を図るため、当該フォーマットに基づいて作成された標準ソフトデータべースを整備すること。

(四)実施体制の整備

以上の項目の円滑な実施を図るため、事業者間の十分な協力体制を整備すること。

三 実施に当たって配慮すべき事項

(一)中小企業への配慮

電子出版業界は、大規模事業者から小規模事業者までの様々な規模の事業者から構成されており、各事業者が有する電子計算機システム、資金的能力、人的能力等にはかなりの差異がある。したがって、共同データべースの構築等に際して、中小規模の事業者に過大な負担を与えないように十分配慮すること。

(二)マンマシンインターフェイスの向上

事業者の増大に対応して、検索や加工が容易に行えるよう操作性を確保する等マンマシンインターフェイスの向上に努めること。

(三)機器の互換性の確保

事業者の増大に対応して、検索や加工が容易に行えるよう異機種のハードウェアユーティリティ間の互換性が確保されるよう努めること。