一般財団法人日本情報経済社会推進協会

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11.住宅設備機器等流通業

通商産業省告示第百七十二号
情報処理の促進に関する法律(昭和四十五年法律第九十号)第三条の二第一項の規定に基づき、住宅設備機器等流通業における電子計算機の連携利用に関する指針を定めたので、次のとおり告示する。
平成四年四月二十日
通商産業大臣臨時代理
国務大臣 塩川 正十郎

住宅設備機器等流通業における電子計算機の連携利用に関する指針

住宅設備機器、インテリア用品及び土木建築材料(木材を除く。)(以下「住宅設備機器等」という。)の流通は、その種類別、メーカー系列別、戸建・集合住宅別に経路が異なっており、流通に関与する主体も、メーカー、商社、流通店、施工業者等広範にわたっている。このため、住宅設備機器等の流通は著しく複雑なものとなっている。また、経済社会の高度情報化の進展の中にあって、一部の大手メーカー等は単独で情報化を進めているが、業界全体でみると情報ネットワークの構築は未だ初期の段階にあり、このことによる流通の合理化の遅れにより、住まい手の多様化、高度化したニーズに対し十分対応できない状況にある。
こうした状況の下で、住まい手ニーズの多様化、高度化に対応しつつ、効率的に住宅設備機器等の供給を行うためには、住宅設備機器等の流通におけるオープンな情報ネットワークを構築し、流通の高度化、合理化を推進する必要がある。
このため、住宅設備機器等の流通業者及び製造業者を中心として、昭和六十二年度より、住宅産業情報サービスにおいて情報ネットワーク構築の基礎となるビジネスプロトコルの作成、メーカーの商品コードの取扱い等につき検討がなされてきた。しかし、情報ネットワークの構築に当たっては、依然として、共同利用データべースの確立、商品コード、企業コード等の各種データコードの登録・管理体制の整備等の課題が残されている。
今後、これらの課題を克服しつつ、事業者間で連携した電子計算機の効率的かつ高度な利用を実現することは、住宅設備機器等の流通の一層の高度化、合理化のための基盤を提供するものであるとともに、我が国住宅関連産業の健全な発展及びこれを通じた国民生活の向上にも資するものである。
この指針は、以上の認識に基づき、住宅設備機器等流通業における電子計算機の一層の効率的利用を図るため、電子計算機利用高度化計画を勘案し、事業者が連携して行う電子計算機の利用の態様、その実施の方法及びその実施に当たって配慮すべき事項を示すものである。

一 事業者が連携して行う電子計算機の利用の態様

(一)取引伝票等の各種帳票のフォーマット、データ交換フォーマット及びこれらに記載される項目コード等のビジネスプロトコルの標準化等を踏まえて構築するオープンな企業間オンライン方式による事業者間の受発注、在庫照会等に係る情報交換システム
(二)需要者のニーズを迅速に把握し、適切な生産・在庫管理体制を確立し、業務の効率化を図るための共同データべースシステム

二 実施の方法

(一)ビジネスプロトコルの標準化

(1)シンタックスルール

住宅設備機器等流通業におけるシンタックスルール(電子データ交換に用いる構文規則)として、(財)日本情報処理開発協会/産業情報化推進センター(JIPDEC/CII)において開発されたCIIシンタックスルールを採用することにより、標準化の促進に努めること。このため、CIIシンタックスルールに対応したトランスレータ(各企業固有のデータフォーマットとCIIシンタックスルールによるデータフォーマットとの相互変換を行うためのソフトウェア)を積極的に導入するよう努めること。

(2)データ項目及び標準メッセージ

業務単位と情報の種類を定義し、これを踏まえて、標準メッセージの内容としてどのようなデータ項目が必要かを検討すること。

(3)企業コード

データ項目の中でも、特に企業コードは業際的な汎用性を高めるため、(財)日本情報処理開発協会/産業情報化推進センターが管理している標準企業コードを採用するよう努めること。

(二)OSIの導入

効率的かつ効果的な「開かれたEDI」を実現するためには、システム間の相互運用性のより一層の向上、運用機能の向上、多様な通信回線の利用可能性の拡大、データの保全性の向上が課題である。
このような状況を踏まえ、OSI(Open Systems Interconnection:開放型システム間相互接続)製品やOSIの導入を容易化する新しい手順(「F手順」等)を積極的に導入するよう努めること。

(三)業界共同データべースの形成

業界共同データべースの構築・運用の形態において、収集・提供すべき情報の種類、情報提供の在り方等の基本的事項について合意形成を図ること。

(四)実施体制の整備

以上の各項を実施するため、(財)住宅産業情報サービスを中心に住宅設備機器等の流通における電子計算機の連携利用のための実施体制整備に努めること。

三 実施に当たって配慮すべき事項

(一)中小企業への配慮

住宅設備機器等の流通は、大規模事業者から小規模事業者まで様々な規模の事業者から構成されており、各事業者の情報化の水準、資金的能力、人的能力等にはかなりの差異がある。
したがって、情報交換システムと構築に当たっては、中小企業者に過大な負担を与えることのないよう十分配慮すること。

(二)セキュリティの確保

情報交換システムのオンライン化及び当該システムへの参加者の拡大等により、システムダウンや不正介入等の危険にさらされる可能性とその影響の及ぶ範囲が増大するおそれがある。これらに対処するため、安全性及び信頼性の高い電子計算機システムの設置、運用面での配慮等セキュリティの確保に努めること。

(三)他業界への配慮

住宅設備機器等の流通に関係する業界は多岐にわたっており、電子計算機の連携利用は、単に流通業界内にとどまらず、建設業をはじめとする取引関係にある他の業界にまでも波及する可能性が大きい。したがって、ビジネスプロトコルの標準化、業界伝送手順の設定及び商品コード・取引先コードの管理体制の整備にあたっては、(財)日本情報処理開発協会/産業)情報化推進センターで進める標準化・統一化との整合性を十分考慮し、関連業界との連携を図りつつ検討を進めること。

(四)業界標準ビジネスプロトコルの公開

関連規約を含む住宅設備機器等の流通における業界標準ビジネスプロトコルは、当該業界内にとどまらず、産業界全体の資産となることが望ましい。したがって、その内容は、積極的に公開されるべきであり、業界としては必要に応じて説明会を実施し、広く普及に努めること。