一般財団法人日本情報経済社会推進協会

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7.紙流通業

通商産業商告示第五百四十三号
情報処理の促進に関する法律(昭和四十五年法律第九十号)第三条の二第一項の規定に基づき、紙流通業における電子計算機の連携利用に関する指針を定めたので、次のとおり告示する。
昭和六十三年十二月二十一日
通商産業大臣 田村 元

紙流通業における電子計算機の連携利用に関する指針

我が国紙流通業は、これまで、代理店を中心に、効率的な紙流通を目指して情報処理システムの構築に取り組んできた。その結果、需要家の多様なニーズに即応し得る効率的な供給体制が形成され、我が国紙流通業の発展に大きく寄与してきたところである。
昭和40年代半ば以降、紙流通業において、コンピュータの導入が急速に進展した。中でも、ビジネスプロトコルの標準化については、日本製紙連合会、日本洋紙代理店会連合会、日本板紙代理店会連合会及び日本洋紙商連合会の4団体の支援のもとに、昭和46年に紙・パルプコードセンターが発足し、取引先コード、品名コード及び帳票の整備、維持、管理、普及等が進められてきたところである。
しかしながら、近年、商品の多様化、取引の小口化、短納期化等に伴い、代理店ごとのオンラインネットワークの構築が進められる中で、各ネットワーク間の互換性の欠如により、卸業者においては、複数の端末機の設置による経済的損失、操作方法の差異による事務処理の複雑化等の問題が生じており、代理店においては、個別のオンラインネットワークの構築による経済的負担の増大等が危惧されている。
このような観点から、紙流通業における情報処理システムの構築に当たっては、企業内又は企業グループ内にとどまらず、業界全体を網羅した形態のものが望まれる。このため、ビジネスプロトコルの標準化の一層の推進、異なる情報処理システム間の相互接続性及び相互運用性の確保、業界共同データベースの整備等を図ることが必要である。
今後、これらの課題を達成しつつ、事業者間で連携した電子計算機の効率的かつ高度な利用を図ることは、紙流通業の経営の合理化・効率化のための基盤を提供するものであるとともに、紙・パルプ産業全体の健全な発展に資するものである。
この指針は、以上の認識に基づき、紙流通業における電子計算機の一層の効率的利用を図るため、電子計算機利用高度化計画を勘案し、事業者が連携して行う電子計算機の利用の態様、その実施の方法及びその実施に当たって配慮すべき事項を示すものである。

一 事業者が連携して行う電子計算機の利用の態様

(一)ビジネスプロトコル(帳票及びデータ交換フォーマット並びにこれらに記載される項目コードをいう。以下同じ)及び伝送手順の標準化を踏まえて構築する磁気媒体(磁気テープ等)交換方式又は企業間オンライン方式による紙流通業者間及び紙流通業者と関係企業間における受発注情報交換システム
(二)情報の体系的な収集、整備及び管理並びにその共同利用を図るための共同データベースシステム

二 実施の方法

(一)ビジネスプロトコルの標準化

次に掲げるビジネスプロトコルについて、(社)日本電子機械工業会のオンライン化取引対応委員会を中心に標準化を検討し、その有効性につき業界内での合意形成を図り、現行処理との整合性に配慮しつつ、発注から決済に至るオンラインデータ交換推奨モデルを形成するよう努めること。

  1. 注文、納入、出荷、入荷、検収等に係る情報(以下「各種交換情報」という。)の交換規約
  2. 各種交換情報のフォーマット
  3. 各種交換情報に共通的に使用されるデータ項目の定義と表現形式(コード体系)
  4. オンラインデータ交換推奨モデルと整合性のとれた物流用バーコード付きラベルのフォーマットとその運用方法

(二)業界推奨伝送手順の設定

各種交換情報をオンライン交換するために、電子機器製造業に最適な伝送手順を設定し、業界標準としての普及に努めること。
その際、OSI(開放型システム間相互接続)を基本とした標準的な伝送手順の開発に貢献し得るよう努めること。

(三)業界標準ビジネスプロトコルの積極的採用

今後、電子機器製造業では、組立メーカーを中心に、受発注などの取引データを交換する個別の情報ネットワークの構築が進むと考えられる。したがって、これら個々の端末及びシスムの相互接続に要する費用の削減と期間の短縮を図るため、各事業者においては、特に外部接続インターフェイスに、業界標準ビジネスプロトコルを積極的に採用するよう努めること。

(四)蓄積交換ネットワークシステムの確立

各種取引業務の広域化、効率化及び省力化を図るため、(社)日本電子機械工業会を中心にして、標準化された外部接続インターフェイスを持ち、多数の取引業務用ネットワークを相互に結合させた蓄積交換ネットワークシステムの整備に努めること。

(五)オンライン取引に対応した標準的業務運用基準の確立

オンライン取引開始に伴う帳票、オンライン併用のデータ交換による運用の複雑化、各社別固有ルールによる運用の繁雑化及び各種トラブル等を防止し、省力化を図るため、日本電子械工業会のオンライン化取引対応委員会等を中心にして、標準的業務運用基準を確立するよう努めること。

三 実施に当たって配慮すべき事項

(一)中小企業への配慮

紙流通業は、大規模事業者から小規模事業者まで様々な規模の事業者から構成されており、事業者間で人的能力等にかなりの差異があることにかんがみ、企業間ネットワークの構築及び運用、業界共同データベース及び共同で開発されたソフトウェアの利用等に際しては、中小規模の事業者に過大な負担を与えることのないよう十分配慮すること。

(二)セキュリティの確保

受発注情報交換システム又は業界共同データベースシステムのオンライン化等により、システムダウンや不正介入等の危険にさらされる可能性及びその影響の及ぶ範囲が増大する可能性がある。これらに対処するため、安全性及び信頼性の高い電子計算機システムの設置等セキュリティの確保を図ること。

(三)プライバシーの保護

業界共同データベースの運用に際しては、情報の外部提供の範囲、方法等について明確な基準を設ける等、プライバシーの保護に十分配慮すること。

(四)製紙メーカーとの情報交換

紙・パルプ産業全体の健全な発展に資するため、ビジネスプロトコルの標準化等に当たっては、製紙メーカーとの情報交換に努めること。