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2025.05.23

レポート

日本型標準加速化モデルとは(標準化に対する政府の取り組み)

一般財団法人日本情報経済社会推進協会
電子情報利活用研究部 調査研究グループ グループリーダ 松下 尚史

経済産業省は、グローバル市場の環境変化に伴い標準化の必要性が高まっていることを踏まえ、従来の基盤的な標準化活動に加えて、戦略的な標準化活動をこれまで以上に拡大し、これらを企業の経営戦略と一体的に展開することが標準化活動のあるべき姿であるとして、2023年6月に日本型標準加速化モデルを発表しました。

日本型標準加速化モデルでは、標準化活動を便宜上「基盤的活動」と「戦略的活動」の二つの類型に分け、図1のように整理しています。

図1 基盤的活動と戦略的活動のイメージ

図1 基盤的活動と戦略的活動のイメージ
(出典:「日本産業標準調査会基本政策部会 取りまとめ −日本型標準加速化モデル−」(経済産業省))

これまでわが国における標準化活動は、基盤的活動が主であり、その活動を通じて、多くのベテラン人材や、市場を支える規格、安全を担保する認証が蓄積され、わが国の標準化活動における貴重な資産となっていると位置付けています。

他方で、グローバル市場を見通した場合、標準化も市場創出のための戦略的活動が拡大していくことが確実であり、日本においても商品企画や研究開発、マーケティング、投資等の経営戦略と一体的に進める必要があるとしています。そのため、経済産業省では戦略的活動に携わる標準化人材育成・確保はもちろんのこと、市場に新たな価値軸を生み出すための企業の経営戦略や研究開発戦略の一つと標準化活動を位置づけ、企業の競争力強化や研究開発成果の社会実装(商業化)を後押しするための施策をさまざまな形で行っています。

例えば、標準化人材の育成として、標準化人材情報Directoryの構築(規格開発・交渉人材の登録と公開1、データベースの充実に向けた準備)、標準化とアカデミアの連携に関する検討会におけるアカデミア連携モデル2の整理(大学・学会と企業の連携モデルプロジェクトの選定)、ルール形成戦略・ヤンプロ(ISO/IEC国際標準化人材育成講座)やNITE、INPITによる各種研修の開催・定着などを実施しています。

その他にも経済産業省のホームページ内にはさまざまな支援制度や解説資料などが掲載されており、標準化に関する情報を得ることができます3。中でも、自社の技術・サービスの標準化の可能性を相談できる標準化活用支援パートナーシップ制度4では、標準化の活用に関する専門的な支援を受けられるとともに、標準化活用支援と自治体・金融機関・研究機関等のパートナー機関による経営支援等を一体的・相互補完的に受けることができます。

このような各種制度を活用しつつ、自社の製品等の標準化可能性を検討し、標準化の可能性があるのであれば市場のルールメイカーとして取り組んでいくという企業の競争力強化を図ってみてはいかがでしょうか。

著者
JIPDEC 電子情報利活用研究部 調査研究グループ グループリーダ 松下 尚史

青山学院大学法学部卒業後、不動産業界を経て、2018年より現職。
経済産業省、内閣府、個人情報保護委員会の受託事業に従事するほか、G空間関係のウェビナーなどにもパネリストとして登壇。その他、アーバンデータチャレンジ実行委員。
実施業務:
・自治体DXや自治体のオープンデータ利活用の推進
・プライバシー保護・個人情報保護に関する調査
・ID管理に関する海外動向調査
・準天頂衛星システムの普及啓発活動 など

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