一般財団法人日本情報経済社会推進協会

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2019.07.25

レポート

平成30年度電子情報利活用研究レポート(全体)

序文

我が国では、Society5.0 を政策推進の柱としている。Society5.0 は、政策⽂書においては2017 年内閣府『科学技術基本計画』が初⾒であると理解している。この意味は、①狩猟社会、農耕社会、⼯業社会、情報社会に続くような新たな社会であり、②IT を利⽤したイノベーションによって⽣み出されるものであり、③超スマート社会サービスプラットフォームによって様々なものが分野横断してつながり、④必要なもの・サービスを、必要な⼈に、必要な時に、必要なだけ提供される超スマート社会を⽣むものとされている。
これまで私たち⼈間は、限界を超えることで変⾰を起こしてきた。船や機関⾞によって移動の限界を超え、電信によって伝える限界を超え、製造機器などによって⽣産性の限界を超え、今はAI やビッグデータを使った新たな可能性の限界(複雑性の限界)を超えようと努⼒している。
また、その中核をなすインターネットは、1991 年ハイパーテキストが発明され、情報がつながる(リンクする)ことが出来るようになり、1998 年Google に代表される検索エンジンの登場によって、私たちの情報への到達コストは⾶躍的に圧縮された。これらは、⼈間のためのインターネットの⾼度化(IP for everyone)であった。今は、様々なものがインターネットにつながり(IP for everything)、実空間が情報空間にコピーされ、それを使った実空間の制御が可能なところまできている。エネルギーや資源などの制御もできるようになれば、SDGs(Sustainable Development Goals(持続可能な開発⽬標))にIT が寄与することも可能であろう。
⼀⽅で、情報空間には国境がない。そのため、各国がサイバー空間を主体にした制度設計を推進している。我が国は、今年、EU と「相互に」個⼈情報に係る制度が⼗分であることを認め合った。(報道では⼗分性認定という⾔葉が使われる。)⽇本の位置づけは、サイバーセキュリティや、データ・フリーフロー・ウィズ・トラスト(DFFT)などにおいて国際調和するための重要な結節点となっており、この観点から⾮常に意味のある⼀歩を踏み出したと⾔える。
以上のような動きを踏まえ、当協会電⼦情報利活⽤研究部では、昨年度に続き、IT に関し推進している調査研究や、事業プログラム制度等産業界と連携した研究会なども実施する中で、参考となるものをレポートとして取りまとめ、発⾏することとした。
⼀部、委託調査などの関係もあるため、記載できない内容もあるが、産業界等がイノベーションについて考える場合などの参考にはなれば幸いである。

⼀般財団法⼈⽇本情報経済社会推進協会
電⼦情報利活⽤研究部 部⻑
坂下 哲也