2026.07.09
レポート
「AI事業者ガイドライン第1.2版」の改訂ポイント
AI利用者が押さえておくべき実務上の留意点
一般財団法人日本情報経済社会推進協会
電子情報利活用研究部 主席研究員 手嶋 洋一
改訂の背景
総務省・経済産業省は令和8年3月31日、「AI事業者ガイドライン」 を第1.1版から第1.2版へと改訂しました。同ガイドラインは「Living Document(随時更新文書)」として位置づけられており、最新のAI技術動向としてAIエージェントやフィジカルAIに係る記載が反映されました。併せて本ガイドラインの利用者からの意見も反映されています。
以下、プライバシーマーク取得企業の多くが該当するAI利用者として、優先して対応すべきポイントをご紹介します。
改訂のポイント
1. プライバシー保護・個人情報管理の強化
「AI利用者に関する事項」(第5部)において、個人情報の不適切な入力への注意がより明確に記載されました。具体的には、AIシステム・サービスへ個人情報を不適切に入力しないよう注意を払うことが求められており、個人情報保護の観点から社内ルールを整備・点検する契機としてください。
2. AI提供者からの情報提供の活用義務
AI利用者には、AI提供者から提供された文書(利用規約・プライバシーポリシー・利用上の留意点等)を保管・活用し、サービス規約を遵守することが明記されました。契約締結時のチェックリスト活用1とあわせて、導入済みAIサービスの規約や利用条件を今一度確認・文書化しておくことをお勧めします。
3. AIリテラシー確保の要請
AI利用に関わる者が十分なAIリテラシーを確保するための措置(指針8「教育・リテラシー」)が強調されています。単に利用ルールを定めるだけでなく、社員への教育・研修の実施や、生成AIの誤情報・偏向情報リスクへの周知が求められています。社内の生成AI利用ガイドラインに教育計画を盛り込むことが望まれます。
1.1版の公開(2025年3月)から認知度は81%と高いものの、活用度合いは46%にとどまっています。活用のしやすさを上げるために、活用の手引き2やチャットボット3が公開されています。「AIによるリスク」の記載も拡充されていますので、これらを活用して、AI利用者として適切なAIガバナンスの強化が必要です。
本内容は、筆者自身の調査分析に基づく個人的見解で、JIPDECの公式見解を述べたものではありません。
著者情報
- 著者
- JIPDEC 電子情報利活用研究部 主席研究員 手嶋 洋一
長年IT業界に従事し、2024年4月より現職。

関連レポート
-
2026.07.09
JIPDECレポート公開「「AI事業者ガイドライン第1.2版」の改訂ポイント AI利用者が押さえておくべき実務上の留意点」(手嶋 洋一)
-
2026.06.17
JIPDECレポート公開「企業間データ連携が進まない構造的理由~技術的・制度的障壁とリスクベースドアプローチへの転換~」(松下 尚史)
-
2026.06.12
JIPDECレポート公開「フィジカルAIの社会実装に向けた論点の整理~安全・プライバシー・責任をどう確保するか~」(松下 尚史)
-
2026.05.15
JIPDECレポート公開「JIS X 22739:2026 ブロックチェーン及び分散型台帳技術-用語の制定について」(手嶋 洋一)
-
2026.05.12
講演レポート公開【ISO/IEC 42001 認証事例紹介】「生成AIソリューション「LITRON® Generative Assistant」の開発および提供」(株式会社NTTデータグループ 伏田 享平氏)